雲南での制作の中で、印象に残ったできごとがありました。
ワークショップで使用する目、鼻、口、これらの多くは雲南の高校生につくってもらいました。
高校生達は、美術部だったり、高校の活動システムの中でやってきた子達です。
進んで目をつくりに来た訳ではない彼等の気持ちを盛り上げることは、とても大事なことです。
先ずは、彼らにゴブリンプレゼンテーション。
これまでの作品を知ってもらうことで、どうしてこの制作が必要なのかをできるだけ伝えます。
そして、制作に入ってもらったのですが、その中に体育会系の六人の男の子達がいました。
さあ、彼らのエネルギーを、制作に集中させる!
そのことは、少し難しく、とてもおもしろいものでした。
黒目を描く作業は面白いだろうと思って取り組んでもらったら、伝えた通りに描くのは最初だけの子がいたり。
シンプルな黒目を求めても、個性的な目がいっぱい生まれてきました。
そこで半分くらいで配置転換。
口の歯ならはまるだろうと、描いてもらったら、これはなかなかいい!
そのくらいから、だんだん彼らがゴブリンの世界に入っていったように感じました。
僕のことを博士と呼んでくれる子もいました。
このパーツが子ども達のからだにくっつくんだよと伝えたら、少し見合ったり。
そんな反応もおもしろくて。
ただ終盤は流石にばててきた彼ら。
制作物は出来上がってきたけど、時間はまだ残っています。
手伝いにきてもらったのに、休憩以外で退屈にさせることは、とても失礼なことだと思っています。
そこでひらめきました!
彼らが帰ってからつくろうと思っていた看板を、彼らにつくってもらうアイデア!
アウトラインの下描きだけ描き、簡単にイメージを伝え、あとは彼らにまかせました!
すると、すばらしい光景!
彼らは皆で話し合いながら、制作を進めていき、完成させたのです!
できあがりは、僕のイメージに近いものでした。
僕には思いつかない工夫も!
美術なんてできないって声も聞こえていた彼らが、配色や、イメージを相談し合っていました。
僕は、ちらちら確認しながら、必要がないようだったので声をかけませんでした。
その光景には、大きな意味を感じました。
それはきっとこれからにつながること。
毎回活動する度に、発見があるのですが、今回のこともまた大きなことでした。
できあがったときの彼らの、少し照れてるようで、満足しているようでもある顔は、ほんとうにいとおしいものでした。
僕一人ではできないこと。
僕一人では感じられないこと。
そのことを再確認させてもらった彼らにもまた、大きな感謝の気持ちを持っています。
本番も、彼らの内の数人が、一番に来てくれました!
彼らの描いた個性的な目も、とてもいい表情を生むものでした!
また、別企画にも参加してくれて、制作物が壊れかけたときには率先してサポートしてくれたそうです。
一つ一つのこと。
一人一人とのこと。
すごくすごく大切にして、これからもアーティスト活動を続けていきたいです。